惑星おいしそう

惑星科学のお話,たまに歴史のお話を徒然なるままに

変な惑星たち

記念すべき最初の記事は「変な惑星たち」です。

「変な」と書きましたが,
私たちの太陽系の惑星と違う特徴を持つから
地球人にとって変に見えるだけで,
宇宙全体から見たらありふれているものかもしれませんが。

 

ここまで書いて,ん?と思った人もいるかな。

太陽系と違う特徴を持つ,
つまり,太陽系の外にも惑星があるという事実を知っておいてほしいというのが1つ。

夜空にはたくさんの星(恒星)が輝いています。
その星1つ1つも,実は太陽と同じように惑星を持っているんです。

我が太陽系は,そんなありふれた惑星系の1つにすぎないというわけ。

 

太陽系の外にある惑星たちを「系外惑星」と言います。
系外惑星は1995年に初めて見つかって以来,
今日までに3375個も確認されています。
(厳密には1995年と一概に言えないのだけれど,それはまたの機会に)

NASAなどのHPに行くと,日々更新されている系外惑星の数を確認することができます。NASA Exoplanet Archive

初めて系外惑星を知った私たちは
太陽系の惑星と違うものがいっぱいあることに気づいてしまってさあ大変(゚Д゚;)
今まで,太陽系を中心に考えてきた理論だけでは説明ができないことが
た~くさん出てきてしまいました。
この辺のお話も長くなるので,残念ながらまたの機会に。

まあ,そうやって科学が今私たちの目の前で日々書き換えられていることが
すっごく面白いんですけどね。

 

さて,今回は数ある系外惑星の中から
なんじゃこりゃ?!なものをいくつか紹介したいと思います。

 

1.Hot Jupiter ホットジュピター

熱い+木星ってなんじゃそりゃ。

ここで,
熱い=中心星(太陽)に近い
木星=巨大ガス惑星
という意味です。

 私たちの太陽系では,
地球など,小さくて岩石質の惑星が内側に
木星などの,大きくてガスがたくさんある惑星が外側にあります。

f:id:torakokumakoushiko:20160913112523j:plain(この絵は自作だよ。頑張った)

しかし,大きくてガスがたくさんあるくせに中心星に超近いやつらがいます。
それがHot Jupiterです。

f:id:torakokumakoushiko:20160907123739j:plain

大阪教育大学 天文学教室HPより)

これはHot Jupiterの代表,HD209458bとその中心星との距離を示した図です。
太陽系の一番内側の水星と比べてもすごく中心星に近いのがわかりますね。

太陽系で言ったら,木星が水星の内側を回っているようなもんですから,
変な感じですよね。

ちなみに,このHD209458bは世界で初めて「トランジット法」という方法で検出された系外惑星です。
系外惑星の検出方法はたくさんあっておもしろいので,
これまた別の機会に書こうと思います。

 

2. Eccentric planet エキセントリック・プラネット

eccentricの名詞形,eccentricityは楕円の「離心率」という意味があります。
(他には,奇抜な/風変わりな,といった意味もあります)

「離心率」とは楕円がどのくらいつぶれているか,を表す数です。
ゼロだと完全な円で,1に近づくほどつぶれた楕円になります。

例えば,地球は太陽の周りを回っていますが地球が描く楕円の離心率は0.016で
地球はほとんど完全な円を描いています。

一方,離心率が1に近くてかなりつぶれた楕円を描く惑星もあります。
それがeccentric planetです。

f:id:torakokumakoushiko:20160907130629j:plain

Sydney Observatory より)

HD20782bは離心率が0.97と1に非常に近く,
こんなにも細長い軌道を取ります。
比較のために,水星から火星までの軌道が書いてありますが
中心星にものすごく近い所を通るかと思えば,
火星よりもうんと遠くまで行くこともあります。

 

3.連星系の惑星

最後に,連星系の惑星について。
「連星」というのは,複数の恒星が一緒に運動しているものです。

私たちの太陽はひとりぼっちで輝いていますが,
パートナーの恒星の周りをお互いにぐるぐる回っている恒星もあるのです。
つまり,連星系の惑星から空を見上げたら
太陽が2つ,もしくはそれ以上見えるということ。

実はこの連星は恒星の半数を占めていると言われています。
太陽も昔は連星で,片方が吹っ飛んでひとりぼっちになったという説があったりします。

さて,連星についてわかってもらったところで
次の絵をご覧ください。

f:id:torakokumakoushiko:20160907132936j:plain

史上2個目、4重連星の中の惑星 - AstroArtsより)

青いのと緑色のが恒星で,これは連星の中でも珍しい4重連星です。
2つの恒星がお互いの周りをぐるぐるしていて,
同時に,それぞれの周りを別の恒星がぐるぐるしているという
わけわかんないくらい複雑な連星系です。
その中の恒星の1つに惑星が発見されています。

つまり,この惑星に立つと,位置にもよりますが
たっくさんの太陽が見えるわけで,
それはもう昼と夜が複雑に繰り返されそうですね。

ちゃんと眠れなさそう笑

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今回は変な系外惑星を3種類紹介しました。
こうやってざっと見てもらうだけでも十分に面白いですが,
最初の方に書いたように,これら変な系外惑星のせいで
今までの惑星のできかた理論が大幅なアップデートを迫られています。

そのあたりがすごくおもしろくて,激アツなのですが
今回はここまで。

近いうちに,惑星のできかた理論のお話も書く予定です。
お楽しみに。

 

では,ごきげんよう。