系外惑星を探せ! その2
系外惑星検出法の紹介,後編です。
今回は3~5についてです。
1.直接撮像法
2.トランジット法
3.ドップラーシフト法
4.重力マイクロレンズ法
5.パルサータイミング法
青字は直接法,
赤字は間接法
太字は主流なもの,を表しています。
3.ドップラーシフト法
「ドップラー効果」はみなさんご存知でしょう。
救急車などのサイレンの音の高さが変わるアレです。
これは音波のドップラー効果によります。
救急車が近付くと音の波が縮まって伝わり,高い音に,
反対に遠ざかると音の波が伸びて伝わり,低い音になります。
これをそれぞれ,波長が短くなる・波長が長くなる,と言います。
ドップラーシフト法は,このドップラー効果の光バージョンです。
光の場合は,波が縮まる(波長が短くなる)と青色に近く,
波が伸びる(波長が長くなる)と赤色に近くなります。
つまり,中心星から出てくる光の波長の変化
(すなわち光の色の変化)を観測することで
中心星が地球に近づいたり遠ざかったりしていることがわかります。
でも,なんで中心星が地球に近づいたり遠ざかったりしていることが
系外惑星と関係あるのでしょうか?
実は系外惑星があるからこそ,
中心星は地球に近づいたり遠ざかったりしているのです。
ここでみなさんに問題です。
惑星は中心星の周りを回っている,○か×か?
↓
↓
↓
↓
○だと思ったでしょ。
正解は,厳密には×です。
惑星と中心星は,どちらも同じある点(共通重心)の周りを回っています。
中心星も,惑星に対して回っているんです。
ただ,中心星の方が圧倒的に重くて
共通重心が中心星の中心に非常に近いので,
惑星から見たら中心星が止まっているように見えるだけ。
ここがドップラーシフト法のポイント。
中心星も回っているということは,つまり地球に近づいたり遠ざかったりしているのです。
4.重力マイクロレンズ法
重力マイクロレンズとは,
遠くにある恒星の光が,地球との間にある別の天体の重力によって曲がって進み
その結果,光が集められて見えることを言います。
何言ってるかわかんないと思うので,とりあえず図を見ましょう。
真ん中にあるのが,系外惑星をもつ恒星です。
この恒星が,地球ともう一つの恒星の間を上から下に動いていると思ってください。
光は普通,まっすぐ進みます。
でも,とっても重いものの近くを通るときは曲がって進むんです。
だから図のように,曲がった光が一点に集められて明るく見えるなんてことが起こり得ます。
真ん中の恒星が惑星を持っていないと,地球と右端の恒星の真ん中を通過するときに光が集められ
地球に届く光の強さは下の図の右のようになります。
真ん中の恒星が惑星を持っているとすると,惑星が真ん中を通過するときにも光が集められるので
地球に届く光の強さは左のようになります。
地球と恒星2つが一直線に並ぶことは頻繁にあることじゃないので,
検出できる数が少ないのが欠点。
5.パルサータイミング法
今までは,系外惑星の中心星が恒星の場合の話をしてきました。
一方で,中心星が恒星でない場合もあります。
恒星じゃなくてなにかと言うと,「中性子星」です。
中性子星とは,太陽よりちょっと重いくらい(3~30倍)の星が
一生の最後に辿り着く姿です。
ものすごい密度が高く,半径10kmくらいで,太陽と同じくらいの重さがあります。
その中性子星も,惑星を持っていることがあります。
中性子星は北極と南極の近くから電波を出しています。
同時に,地球や太陽と同じように自転しているので
この電波がある一定の時間間隔で地球に届きます。
この電波を「パルス波」といいます。
ただ,中性子星が惑星を持つと,3.ドップラーシフト法 で説明したように
中性子星は地球にわずかに近づいたり遠ざかったりします。
このとき,パルス波が周期的に変動するのを観測します。
実はこの方法は,初めて系外惑星が検出された1995年より前の1992年に成功していて,
このとき2つの惑星が検出されました。
しかし,中性子星周りにある惑星は,他の惑星とできかたが異なる可能性が大きいということで別に扱われています。
なので,正式には系外惑星が初めて検出されたのは1992年ですが,
(一般の)系外惑星が初めて検出されたのは1995年とされています。
さて,系外惑星検出について2回にわたり紹介してきました。
系外惑星は今この瞬間もドンドン見つけられていて,
解析が終わっていないデータも数千個分あります。
これだけ惑星があれば,どれかに宇宙人がいてもおかしくないですよね?
宇宙人のことについても,いつか書きたいと思っています。
次回は,系外惑星のことは少しおいといて,
「太陽系の惑星がどうやってできたのか」をお話しようと思います。
かなりボリューミーになることが予想されますが,頑張ります!